Bone and Joint Decade 運動器の10年 2000-2010
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平成28年度 運動器の10年・日本賞
審査委員による選評


 当協会では、今般の審査にあたり、理事の中から5名と賛助会員(ゴールド)3社から審査員に参画していただき、下記の8名による審査委員会で厳正な審査を行いました。

審査委員
松下 隆 専務理事・総合南東北外傷センター センター長
武藤 芳照 業務執行理事・日体大総合研究所 所長
稲波 弘彦 業務執行理事・医療法人財団岩井医療財団 稲波脊椎・関節病院 理事長
新井 貞男 業務執行理事・医療法人社団緑生会 あらい整形外科 院長
三上 容司 理事・横浜労災病院 副院長
竹下 克志 理事・自治医科大学整形外科 教授
増本 武 久光製薬株式会 執行役員 医薬事業部 事業部長
飛田 信一 第一三共(株) 医薬営業本部 マーケティング部長
今給黎 明彦 エーザイ・ジャパン 地域連携製品政策部 運動器グループ長
山本 寛和 小野薬品工業(株) 学術研究部 学術研究部 部長
間淵 清隆 日本イーライリリー(株) 筋骨格事業本部 営業統括部長
 


運動器の10年・日本賞 選評
「動く喜び」「障がい者の社会参加」「障がいに対する地域の理解」の輪を広げるユニバーサルスポーツ普及・定着の取り組み

とうみユニバーサルスポーツクラブ
 
 近年、健康のためにスポーツを行う人が増えているが、障がい者が運動・スポーツを楽しむのは容易ではない。そこで「とうみユニバーサルスポーツクラブ」では2011年からこの課題解決のための取り組みを開始し、四肢重度機能障がい者のために考案されパラリンピック正式種目でもある「ボッチャ」に着目した。「ボッチャ」は障害のある者とない者とが一緒にできる競技であり、これを軸に障がい者が健常者とともに定期的に運動・スポーツが楽しめる場を2013年から提供し始めた。2014年からは「わくわくスポーツクラブ」として月1回定期的に開催し、指導者や審判の育成講習会、交流大会の企画運営、県選手権大会の誘致など活動を広げた。最近では週1回、介護福祉施設の要介護高齢者の生きがい活動としてのクラブ活動も開始した。これらの活動の結果、クラブ活動への参加者は年々増加し、2016年には健常者の地域スポーツ大会の種目にも「ボッチャ」が採用された。
 この活動の素晴らしさは、四肢重度機能障がい者や要介護高齢者など一般にはスポーツを行うことは難しいと思われている人々にスポーツをする場を提供したばかりでなく、障がい者や要介護高齢者と健常者とが同じ種目に参加し一緒にスポーツを楽しむ環境を作り上げた点にあり、運動器の10年・日本協会「日本賞」に相応しいと判定した。
松下 隆 審査委員

運動器の10年・優秀賞 選評
高齢者サロン訪問による地域密着型転倒予防プログラム

慶友整形外科病院 慶友転倒骨折予防医学センター
 
 高齢者の転倒は、大腿骨近位部骨折を含めた種々の骨折を招き、その結果、高齢者の機能予後、生命予後が悪化する。超高齢社会において、高齢者の転倒予防はQOLの維持のみならず医療経済学的な観点から重要な課題である。本事業では、地域内にすでにある高齢者サロンを利用して、転倒予防プログラムを実施した。そして、年1回プログラムを実施した群と3カ月に1回プログラムを実施した群を比較し、両群の転倒率に差はないが、プログラムの実施により転倒が43%減少したことを示した。転倒予防プログラムの有効性と至適な実施条件を科学的に検証した点が秀逸である。今後本事業の継続が、地域を超えた全国規模での転倒予防への取り組みに発展することを期待したい。優秀賞受賞にふさわしい事業である。
三上 容司 審査委員

運動器の10年・優秀賞 選評
小中学生に対する運動器障害予防活動
〜整形外科医・小中学校・アスレティックトレーナー・行政との連携〜

整形外科ネットワーク筑波/つくばスポーツ医学健康科学センター/筑波大学整形外科
 
 学校保健安全法施行規則の一部改正により、平成28(2016)年4月より学校での児童生徒の健康診断において、運動器の検査が必須化された。これは、運動器の10年・日本協会が11年に渡って、様々な活動を積み重ねて国に働きかけて得られた大きな成果だ。
 本事業は、平成20(2008)年度より、児童生徒の運動器検診を継続・発展させ、地域における教育行政、医師会、学校、整形外科医、アスレティックトレーナー等を連携・協力させ、地域社会における児童生徒の運動器障害予防体制のモデルを生み出すと共に、様々な重要な知見とデータを提示したものである。
 始まったばかりの全国一斉の小中学校での運動器の検査。早急に学校現場での課題を整理してさらなる整備・充実が求められている今、きわめて有用な経験と知恵を提供する意義ある事業と判断された。
武藤 芳照 審査委員

運動器の10年・奨励賞 選評
働き盛り世代のロコモ検診

三重大学医学系研究科スポーツ整形外科
 
 日本整形外科学会は、ロコモティブシンドロームという概念を提唱し、高齢者に対し、より早期から運動器の障害・機能低下を発見し予防する運動を展開している。しかし、その事業の多くが高齢者を対象としており、予防にはより若い世代からの取り組みが必要との声が以前より指摘されていた。本活動は企業に勤務する現役世代にロコモの概要や運動器検診の必要性を講義し、ロコモ度テストや運動機能検査を行い、ロコモ対策となる運動法の指導も行っている。この活動により、働き世代にロコモの啓発・普及を行う事が可能であり、継続することにより自身の運動機能の理解や経年変化を自覚することにより、ロコモの発症年齢を遅らせることが期待される。先駆的な取り組みとして高く評価したい。
新井 貞男 審査委員

運動器の10年・奨励賞 選評
リウマチ患者のアクティブライフを目指す
「リウマチのリハビリテーション教室」


一般財団法人 筑波麓仁会 筑波学園病院
 
 患者さんに積極的な『チャレンジ精神』を与え、太極拳等から登山まで創意工夫をもって、かつ的確な医学的知識のもとに行っている事は大変素晴らしいと思われます。体が不自由な患者さんが登山まで行えて、頂上に立った時の満面な笑顔が目に浮かびます。病のみを治すのではなく、全人的に患者さんを癒しQOLを高める事は医療の理想と思われますが、正に本事業は理想を実現したものと言えるでしょう。患者さんを幸せにしている本事業が患者さんのみでなく、行っている方々も幸せにしているのではないでしょうか?貴殿の活動がより広く知られ、行われる事、そして他の医療従事者も同様な事業を行っていくようになる事を願って止みません。
稲波 弘彦 審査委員

運動器の10年・奨励賞 選評
学童軟式野球大会における障害予防活動

一般社団法人 アスリートケア
 
 スポーツ障害は青少年における主要な運動障害であり、とくに参加者の多い野球では野球肘などの上肢障害は健康な青少年の育成という観点からも現状には問題がある。今回の一般社団法人アスリートケアによる学童軟式野球大会における障害予防活動はそうしたスポーツ障害への対策の一方策として注目される。アスリートケアは2013年の西日本学童軟式野球大会の指導者と選手を対象とした講義や実技指導から取り組み始め、2014年以降は高野山旗全国軟式野球大会関係者へ対象を拡大し理学療法士による肩・肘チェックやクーリングダウンやストレッチの指導などを行ってきた。これまでのべ110名の理学療法士により4,348名の選手とその指導者への啓発は高く評価されるべきもので、運動器の10年・奨励賞に相応しい活動である。
竹下 克志 審査委員

運動器の10年・奨励賞 選評
スポーツ傷害予防サポートチーム:有志チームでスポーツ外傷予防
〜膝前十字靭帯損傷予防への10年のとりくみ〜

スポーツ傷害予防サポートチーム
 
 宮本氏らは、スポーツ障害を予防するために有志の理学療法士16名で、チームを組んで活動している。活動内容は、ACL損傷予防のために独自の予防プログラムを作成し、高校及び大学女子バスケットチームに対し、年3回予防トレーニング講習会という形式で指導している。講習会の内容は、講義だけでなく、アライメントのチェック、予防トレーニング指導、個別指導と1回4時間をかけて、実施している。開始当初2チームから開始した活動は、2016年までで、のべ8チームまで増え、計60回以上の予防トレーニング講習会を実施するまでに至った。
 10年間の予防プログラムの効果として、講演会実施の大学女子バスケットボールチームでのACL損傷が62%(リスク比で0.38)減った実績が運動器の10年・奨励賞にふさわしいと評価した。
増本 武 審査委員

運動器の10年・奨励賞 選評
ロコモティブシンドローム予防事業

二戸市
 
 早期より健康寿命延伸に対する取組としてメタボ予防に加えロコモ予防を加えたことが特徴である。ロコモの啓発活動において住民の運動機能を数値化し、その結果に基づき一人ひとりへきめ細かく対応している。また経年変化をフィードバックし予防に対する意識向上に繋げている。担い手は「二戸いきいき運動サポーター」と呼ばれる住民からのボランティアである。住民の参加により意識向上が図られるともに地域交流に貢献している。更に運動器機能検診を小中学校に展開しロコモとメタボを一体化したデータベース構築により健康事業に発展している。更なる住民の参加意欲向上により、二戸市民の生涯を通した運動機能の維持・増進に期待したい。
飛田 信一 審査委員

 

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