コラム 2021.11.17

運動器ドクターズ Q.四十肩(五十肩)は、肩こりとどう違うの?

 

四十肩(五十肩)も肩こりも首から肩にかけての痛みやこりを訴える点では、よく似ています。しかし実はまったく違うものなのです。

ズバリ、四十肩(五十肩)=肩関節の炎症、肩こり=首から肩の筋肉疲労なのです。

 四十肩(五十肩)は肩関節の炎症ですので、痛みだけでなく肩関節の運動制限を伴います。軽症の場合は髪をとかす動作や後ろ手に帯を締めるなどの動作がつらくなってきます。さらに悪化すると痛みのために寝返りがうてない、眠れないなどの症状が出る人もいます。多くの人は、半年から1年で自然に治ります。しかし、稀ですが、「放っておけば治るよ」と言われ放置してしまい肩関節拘縮(こうしゅく)を起こして(凍結肩と呼ばれる)来院する人がいます。ひどい拘縮になってしまうとリハビリで元に戻すことは非常に困難で、手術が必要になることもあります。とくに冷えると悪化することが多いので、エアコンが入る夏は要注意。痛みで眠れない、洋服の着脱が困難などの症状が出たら早めに整形外科の受診をお勧めします。

 いっぽう肩こりは、首から肩にかけての筋肉疲労です。パソコンなどで同じ姿勢で仕事をしていると、後頭部から肩甲骨にかけての僧帽筋(そうぼうきん)や肩甲骨周辺の筋肉に持続的緊張が生じ、筋肉が硬くなり、局所の循環障害が起こります。硬くなった筋肉の内部まで酸素や栄養分が届かないので、疲労物質が蓄積し、これが刺激となって筋肉のこり、すなわち肩こりが起こり、それがさらに局所の循環障害となり、ひどくなっていきます。頸椎(けいつい)の疾患や胸郭出口症候群(鎖骨の下で血管や神経が圧迫される疾患)で起こる肩こりもあります。また、ストレスや内臓疾患(心・肺・肝疾患や胃腸障害)でも肩こりは起こります。肩こりが重大な病気の前触れであることもあり、「頑固な肩こり」「長引く肩こり」では整形外科などの医師の診察が必要です。

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