コラム 2021.11.19

運動器ドクターズ Q.つき指で指が曲がったままになることがある?

「突き指なんて引っ張っておけば治るよ」と言われたことありませんか?

 子供のころ、ドッジボールで突き指をしたとき、大人の人にそう言われ、「そんなものか」と痛いのを我慢して指を引っ張っていた記憶があります。突き指は引っ張れば治る…….それはじつは真っ赤なウソでした。そう、昔の常識が、今は非常識なのです。

 しかし、今もなお「突き指」について、「引っ張れば治る」「放っておいても大丈夫」と思っている人が少なくないのも事実。そこで、突き指とはいったいどういう状態なのか、きちんと知っておくべきです。

 突き指は、指先に物が当たり、指の関節の周りの組織が損傷している状態です。単なる打撲、腱や関節包が傷ついた状態から、腱の損傷、骨折、軟骨の損傷、脱臼を伴うものまでいろいろな状態があります。それらを総称して、「突き指」と言っているのです。

 従って、放っておいて治る場合もあれば、しっかりと治療しなければ変形を残したり、指の関節の不安定を残しクセになってしまう場合もあります。ところが、やっかいなことに、突き指は外見でその状態を見分けるのは困難です。

 そこで突き指をしたら、まずはご自身や周囲の人に手伝ってもらい氷で冷やす「アイシング」を行い、固定することが大事です。そしてできるだけ早めに整形外科の受診をしましょう。前述したように、突き指は外見ではその状態がわかりませんから、レントゲンを撮ってもらう必要があります。もし骨折していたり、靭帯が切れている場合は手術が必要となる場合もあります。

 なお、突き指をして1ヶ月くらい放置し、やっぱり治らないといって受診する人も結構います。初期の段階なら簡単に治っていたものの、治療が遅れ、指に変形や不安定性などの後遺症が残るケースもあります。ですから受傷後、遅くても2〜3日で受診することが良いでしょう。
たかが突き指、されど突き指なのです。

この記事をSHAREする

RELATED ARTICLE