島根県雲南市で子どもの体力づくりに大きく寄与している「「わくわくうんなんピック」とは? 〜2020年第8回・「運動器の健康・日本賞」受賞事業〜
「遊ぶ場所、遊ぶ仲間、遊ぶ時間」の減少により、子どもが体を動かす機会が減少しており、とりわけ農山村部では顕著です。全域が中山間指定を受ける島根県雲南市でも、同じように外遊びの減少・遊びの室内化による運動不足や体力低下が深刻な問題となっていました。
そこで「島根県雲南市子ども政策局子ども政策課」では、これに対応すべく、平成25年に「雲南市幼児期運動プログラム」を策定し、保育関係者らとともに幼児期からの運動遊び・身体活動の促進に関する取り組みを積極的に実施してきました。
こうした取り組みでは、どのように成果を評価していくかが重要となるものですが、雲南市では、市内保育施設の3・4・5歳児を対象とする体力測定を通して、プログラムの効果検証を行っています。この測定事業は、子どもたちがわくわく元気よく参加できるように、またオリンピック・パラリンピック精神を継承する願いも込め、「わくわくうんなんピック」と名付けられています。
「わくわくうんなんピック」の特徴は、次の5点。
- 日々の運動遊び体験を通じて獲得される走・投・跳などの基本動作を評価(25M走・ボール投げ・立ち幅跳び・バランス歩行の4項目)し、基礎的な運動能力を測定。
- 全力で楽しく測定に臨めるよう、測定と関連の深い動作を取り入れた運動遊びの特設コーナーを設けて、子どもの意欲や興味、そして最大能力を引き出すよう工夫。
- 測定後は、楽しく元気よく取り組んだ証として、全ての参加者に関係者手作りの「金メダル」を授与。
- 測定結果は、参加保育施設を通じて保護者に返却されるため、家族ぐるみで子どもの体の育みへの意識を高めることにつなげられる。
- 個々へのフィードバックだけでなく、地元大学等との連携して分析・考察を行い、客観的な実態把握を行うと同時に、精度の高いプログラムの効果検証につなげる。
この測定は、平成24年より継続実施しており、市内22園中21園およそ600名の幼児が参加してきました。ちなみに昨年度の測定結果は、全国平均と比べてもおおむね標準。運動不足に陥りがちな中山間地域において、各園や家庭・地域が一体となって子どもたちが楽しく体を動かせる環境づくりを進めていることが、標準的な体力を維持する結果につながったと考えているそうです。
幼児期の遊びを中心とする身体活動は、心身の健やかな成長と生涯にわたる健康に大きく影響するもの。「島根県雲南市子ども政策局子ども政策課」は、本事業を通じて、地域とともに子どもの健やかな育ちを支えていくことで、“運動器の健康なまち雲南“の実現を目指し続けています。