コラム 2021.08.05
オンラインシンポジウム『児童生徒等の運動器の健康を守り、学校での重大事故を防ぐために』発表概要
(6)学校での児童生徒の重大事故の実態と予防
山中龍宏 学校保健委員
(横浜市・緑園こどもクリニック院長)
1.実態
わが国では、日本スポーツ振興センターの災害共済給付システムによって、学校管理下における児童生徒の災害のほとんどすべてのデータが得られる。毎年ほとんど同じ発生率となっている。
2.傷害予防の位置づけ
傷害予防の優先度が高いのは、1)重症度が高く、後遺症を残す確率が高い、2)発生頻度が高い、3)増加している、4)具体的な解決方法がある傷害である。予防活動とは、1)傷害の発生数、発生率の減少、2)重症度(通院日数、入院日数、医療費など)の軽減を数値で示すことである。
3.傷害予防の取り組み
傷害予防の基本は、1)製品・環境デザイン(Engineering)の改善、2)教育(Education)、3)法規制(Enforcement)の3つで、英語の頭文字をとって3Eアプローチと呼ばれている。
傷害が起こった状況を「変えたいもの」、「変えられないもの」、「変えられるもの」の3つに分け、「変えられるものを見つけ、変えられるものを変えることによって、変えたいものの発生頻度や重症度を変えること」が予防なのである。