「運動器の健康」推進のグローバル戦略“ 「運動器の健康・国際運動」発表 部分訳
当協会も加盟している「運動器の健康・世界運動」国際本部が、このほど“「運動器の健康」推進のグローバル戦略”と題する報告書を発表し、この内容を関係者に広めて欲しいとの要望がありました。この報告書の骨子となる部分を、翻訳しましたのでぜひご一読下さるようお願いいたします。
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(以下主な英訳を掲載します)
本報告書の調査を通じて、運動器が痛み、傷害、医療費支出の多くを占める原因であるにも拘らず、腰痛、骨折、リウマチ、骨粗しょう症など運動器の健康保持に必要な対策の優先度は世界的に低いことが判明した。
この報告書はこの現状改善のために全ての国が取るべき健康システムのブループリント(計画書)を提案している。
このブループリントは運動器の健康・基金の援助により豪州カーテン大・シドニー大のアンドリュ-・ブリッグス教授及び後記の国際研究者チーム主導のもとに72ヶ国の116団体から約700のステークホルダーにより策定された。
現在、世界における運動器の健康保持状況を概観し、国の健康政策のズレと傾向を確認し、運動器の不具合体験者を含むステークホルダーの合意を得て運動器の健康で優先すべき8つの主要分野のブループリントを完成した。
この研究を支援した運動器の健康基金代表トニー・ウールフ教授によれば、世界中で今や1990年を84%上回る15億人以上に運動器の不具合があり、多くの「行動を求める要請」や増加の一途を辿る高齢化にも拘らず、健康増進体制はこの現状やリハビリの必要性の優先度を低く止めたままにしている。改善を阻んでいる要因の一つは、体の障害の負担に対する世界規模での戦略的方策が今までが今まで進展されてこなかったことだとブリッグス教授は語った。
データに基づくこの新しい取組みは、医療改革を促す世界規模の作業に重要である。
運動器の健康に対処するには医療改革のみに留まらず、産業、交通及び既存の環境との共同作業、省庁間の優先順位付けを必要とする。
「WHOなどの機関が策定したような世界規模の指針が各国における運動器の健康への対応に必要で低・中所得国などを含む地域ではそれぞれの必要性と優先度に応じてこのブループリントを参考にしてそれぞれの地域に適合させることが可能になる。」とシドニー大学・G-MUSCのリン・マーチ教授は語った。
「このブループリントは実践的であり、国際的対応状態の概観と、各国が世界的に
増大する傷害と費用負担に歯止めをかけるにはどうすれば良いかを示している」
この健康システム改善の枠組みの中で確認された8つの重要分野は、地域社会教育、リーダーシップとガバナンス、健康資金調達モデル、総合的かつ人間中心の介護を支えるサービス提供モデル、医薬品及び医療技術への公平なアクセス、適切な介護を適時に実施する医療従事者、公衆衛生調査、そして研究とイノベーションである。
ベルリン・フンボルト大学及びG-MUSCのカーステン・E.ドライへーファー教授は「この動きはWHOなどの世界的機関で検討が進み各国の団体、諸分野で注目されるであろう。そして、運動器の健康がライフコースと加齢、リハビリ、非伝染性疾患、外傷対策における医療改革に統合されるだろう。」と語っている。
カナダ・カイロプラクティック・カレッジ、トロント大学、G-MUSCのデボラ・コパンスキー・ジャイルズ教授はブループリントのインプットにおける包括的な取組みについて語った。「このブループリントの発端となったデルファイ国際プロジェクトは非常に包括的であった結果、中・低所得国のみならず高所得国でも視点を提供できた。このブループリントは多くの見解を含めることによって充実をはかるべく、患者、健康促進関係者、臨床医、教員、政策立案者、研究者から広く情報を求めた。」
「重点的項目に関しては全てのステークホルダーからほぼ全面的合意が得られており、国単位及び
国際規模の双方で運動器の健康に関する将来の方針決定を協調して推進する見通しは明るい」
世界健康調査と政策ならびにBMJ・Global Healthに掲載予定の2件の研究報告書と、それに基づく「運動器の健康改善に向けた世界戦略」と題する報告書は、運動器の健康・世界運動のウェブサイトに公表されている。
プロジェクト・チームと運営委員会委員は次の通り。アンドリュ-・ブリッグス教授(委員長)、Dr.カルメン・ハッケル・シュナイダー、ヘレン・スレイター教授、Dr.ジョアンヌ・ジョーダン、Dr.サリカ・パランバス、Dr.ジームズ・ヤング、Dr.サウラブ・シャルマ、デボラ・コパンスキー-ジャイルズ教授、スワテイー・ミシュラ、リン・マーチ教授、トニー・ウールフ教授、クリスティナ・アケソン教授、ニール・ベタリッジ、カーステン・ドラインヘーファー教授、及びDr.マンジュル・ジョシプラである。
連絡先:
英国 ― トニー・ウールフ教授、anthony.woolf@btopenworld.com
カナダ - デボラ・コパンスキー-ジャイルズ教授、deborah.kopansky-giles@unityhealth.to
ドイツ ― カーステン・ドラインヘーファー教授、karsten.dreinhoefer@charite.de
オーストラリア ― リン・マーチ教授、lyn.march@sydney.edu.au
アンドリュ-・ブリッグス教授、A.Briggs@curtin.edu.au