インタビュー 2022.09.13

ダンサー・パパイヤ鈴木が考える 本当に“素敵”なダンスとは?

今回のゲストは、ダンサーで振付師、そして俳優としても活躍するパパイヤ鈴木さん。最近では、自動車のテレビCMで「ソッ、ソッ、ソ〜リオ♪」というリズミカルな曲に合わせて元気に踊る姿をご記憶の方も多いと思います。そんなパパイヤ鈴木さんに、ダンスを始めたきっかけや独自の健康管理術などについて伺いました。

歌手志望なのにダンスの世界へ

 僕がダンサーとしてデビューしたのは16歳の時でした。ダンスや振付の世界に入ったのは、完全に父親の影響ですね。うちのおやじがラテン音楽のミュージシャンだったこともあって、僕は小さい頃から歌手になりたいと思ってたんです。

 そしたら中学生の時に、おやじが「歌は音程とリズム感が重要だから、まずリズム感を養うためにダンスを学んでこい」と、知り合いの先生を紹介してくれたんですね。今はそんなことはないですが、昔はダンスって、なんかナヨナヨしてて男がやるものじゃないようなイメージがあったじゃないですか。だから、あんまり乗り気じゃなかったんです。

 でも、その先生に会ってみたら、すごく面白くて。まず全然ダンサーらしくないんです。顔がおっかなくて、威厳があるというか、とにかく“圧”がスゴい。独特の喋り方をする人で、渋〜い声で「ダンスがやりたいのか――」と訊いてくる。

別にやりたくないのに、ものすごい威圧感に負けて思わず「ハイ」と答えちゃった(笑)。そしたら「じゃあ、立て――」と言いながらパッと音楽をかけたんですね。それがアース・ウィンド&ファイアーの曲で。うわ、カッコいい! と心奪われて、思わず「この曲、何ですか?」と聞いてしまった。でも、それにはなぜか答えてくれず、「曲に合わせて歩け――」と言う(笑)。で、音に合わせて歩いたりお尻を振ったりしてたら、「もっとだ――」と煽ってくるんです。低〜い声で(笑)。

 休憩時間になると、おもむろに近寄ってきて、僕の目をじーっと見ながら急に床を踏み鳴らしてタップを踊り始めるんです。「これがタップダンスだ。やってみたいか――」と訊くので、また圧に負けて「ハイ」と答えたら、「いずれな――」と低い声で言い残して去っていく。なんかもう、その独特の雰囲気がおかしくてしょうがなくって(笑)。その先生に会いたくて、毎週、教室に通い始めました。僕は今年56歳ですが、結局、今に至るまでダンスや振付を生業にしています。

ナースシューズで踊る!?

 ちなみに、僕の日々の仕事に欠かせない道具の一つが、実はナースシューズ。そう、病院の看護師さんたちが履いてるアレで踊ってるんです。意外でしょ(笑)。これは足先を痛めて包帯を巻いていた時に、何か履けるシューズはないかと探しに探して発見したんです。ナースシューズって2000円くらいで買えて、サイズが30cmくらいまであるから、包帯を巻いたままでも履ける。ソールのクッション性もほどよくて、ベルクロで固定できるから踊ってもズレないし、何よりめちゃくちゃ軽いんです。これは使えるぞ!というわけで、ここ3年くらい実は常にナースシューズを履いて踊ってます。

 あとは、バックパックも必需品。仕事柄、ダンスウェアやシューズを常に運ぶ必要があるから、荷物が重くてかさばるんですよ。だからといってゴロゴロ引くのはイヤで、自分で持ちたい。となると、なるべくコンパクトかつタフで多機能なバックパックが理想になってきます。

いま使ってるのは、40ℓのスイス製のリュック。これがとにかく便利でね。ノートPCの収納スペースはもちろん、折りたたみ傘、イヤホン、メガネなど、あらゆる必需品の専用スペースが備わっていて、ものすごく機能的。機内持ち込みもできるので、これにiPadを入れて、空港や機内でダンスの映像を観たり、漫画を読んで過ごすのが定番です。僕らの仕事は9割が移動時間と待ち時間なので、iPadはある意味スマホより重要ですね。

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