少年野球選手の“肩と肘”を守る「シーズンオフ」の重要性とは?
試合をしない「シーズンオフ」は、少年野球の選手にとって全力投球を控え、肩肘を休めるための大事な期間。この期間が短い選手は、肩肘の障害を起こしやすくなります。本記事では、改めてシーズンオフの重要性にクローズアップします。
日本初となる全国規模の「中学野球の実態調査」が行われたのは2016年。この調査で、中学生の野球少年たちの具体的な投球数、練習時間、試合数、シーズンオフの数字が明らかになると同時に、選手たちの肘や肩の障害の状態も浮き彫りになりました。
肩肘とシーズンオフの関係
この調査結果について整形外科のドクターが分析した結果、野球障害を予防するためのさまざまな「数字」が出され、『野球障害を防ぐための10の提言』がまとめられました。それが上の10項目です。
なお、調査によれば中学野球選手が痛みを感じる部位の1位は「肩」28.3%、2位「肘」17.8%。野球が肩肘を痛めやすいスポーツだというのは以前からわかっていたことですが、この調査により、「野球における肩肘の障害は、全力投球数に比例して増える」ということが明らかになったのです。
全力投球は、練習や試合数が増えれば比例して増えます。つまり「シーズンオフ」が少ないとそれだけ試合数が増えるので、全力投球数が増え、肩肘の障害も増えると予測できます。
実際に、調査では、肩肘の痛みを感じた選手の中で、もっとも高い割合を示したのが「シーズンオフが2カ月以下」30・7%でした。3カ月以上になると痛みを感じる選手の割合が減ることから、提言では「シーズンオフを少なくとも3カ月以上」と示しているわけです。
シーズンオフ=肩肘を休める期間
シーズンオフが短いということは、言い換えれば、肩肘を休める期間が短くなることを意味します。肩肘は、疲労してもきちんと休むことで回復します。もし痛みを感じた場合でも、初期段階で痛みを感じる動作をやめ、安静にすれば修復しやすいのです。
しかし疲労が重なったり、痛みを感じても十分に安静期間をとらないと、関節内の組織の痛みが進行し、修復に時間がかかったり、最悪の場合、関節内の組織が壊れて、肩肘に障害が残る場合もあるのです。
そこで、シーズンオフの重要性をいま一度、再認識し、3カ月以上の期間を設けるようにしましょう。