疾患ナビ 2023.09.01
「猫背」は遺伝? 10代の息子の猫背を治すには?
体と運動器にまつわるお悩みについて、そのメカニズムと解決法を、体と運動器のエキスパートである整形外科医で自治医科大学整形外科教授の竹下先生が回答。今回のテーマは「猫背」です。
Q.息子の猫背を治したい
最近、12歳の息子の身長が急激に伸び、母親(私)と似た猫背になってきました。「姿勢を良くしなさい」といつも言うのですが「遺伝だから仕方ない」と本人は諦めている様子。猫背は本当に遺伝するんですか? また治す方法はありますか?
A.猫背は原因不明。正しい姿勢を保つのが大切です
実は猫背の原因は解明されていません。猫背の多くは病気として困ることが少ないため、それほど研究の対象となっていないのです。
ただし、米国の研究では遺伝が関係することが報告されていますし、横に曲がる側弯の場合は遺伝の影響は確実です。また、前後に曲がる猫背でも遺伝が関与していることは間違いないでしょう。
なお、治療が必要なひどい猫背は日本では稀ですが、欧米では「ショイエルマン病」と呼ばれ、装具をつけて治療したり、時には手術も行われています。
背中にある背骨のなかで、首と腰の間にあるのが「胸椎」ですが、これは正常の状態でも軽く曲がっているのが普通。子どもの場合、体の成長とともに、背骨と軟骨が前から後ろまでバランスよく伸びることで、軽く曲がった正常な背骨になるのです。
もちろん、極端に前かがみの姿勢を続けると前側の軟骨に負担がかかり、軟骨が成長できず、結果的に後ろ側のほうが伸びた背骨になってしまいます。ですから遺伝だと諦めずに、お子さんに「姿勢を良くしなさい」と定期的に言い続けることは、大人になって猫背にならないためにも良いと思います。