【親&指導者必読】子どもの「野球肘」を防ぐために知っておくべき基礎知識8選
【5】重症化しやすい「外側の野球肘」は手術が必要になることも
外側の野球肘は、ほとんどの場合、小学生の頃に発生します。成長途中のひじで投球を何度も繰り返すと、ひじの外側にある上腕骨と橈骨の軟骨同士がぶつかり圧迫されることが繰り返され、ひじの外側に痛みが出ます。
この場合、関節の軟骨と骨に障害が出る「離断性骨軟骨炎」になっていることがあります。発生初期には軽い痛みや違和感のみで、あまり気づかずにそのまま野球を続ける人がほとんどです。
しかし進行すると骨と軟骨がはがれるようになって症状が強く出始め、そこで初めて病院にかかろう、となるわけですが、進み具合によっては手術が必要となり、野球ができなくなるだけでなく、肘の動きに制限が残ってしまうこともあるので要注意です。
【6】野球肘になる理由は投球動作だけではない!
先述の通り、野球肘になるきっかけは投球動作ではありますが、ボールを投げること自体が野球肘を招くのではありません。野球肘になる要因として次の3つがあげられます。
- 成長期であること
子どもの骨は未完成で弱くもろいうえ、骨や関節を守る筋肉が未発達な状態。
- 投げ過ぎ
弱いひじ関節に投球動作というストレスを与え続けると、ひじを痛める。
- 投球フォームの問題
ひじが肩より下がった状態は、腕だけを振って投げることになり、ひじの負担が大きくなる。また投球時に、足や腰、体幹などの全身を連動させることができないと、同じく腕だけに頼る投球になり、ひじの負担が増す。
【7】野球肘の予防法とは?
小中学生が野球を続けるためには、第一に「そもそも野球肘にならない」ことが重要です。
そもそも、成長期は、体を動かす基礎を身につける時期。ボールを投げるなど特定の動きだけを繰り返すのではなく、遊びの中で、「走る」、「跳ぶ」、「転がる」などさまざまな動きを通じ、全身を連動させる体の使い方を習得すべきです。なので、できるだけ幅広い遊びや運動、スポーツを経験させることが野球肘の予防につながります。
また、練習や試合前後のストレッチやウォーミングアップ、クーリングダウンも大切です。常に体の柔軟性を保ち、ケガを予防する体制づくりが大事なのです。
【8】野球肘を重症化させないためには早期発見が重要
「野球が大好き」という気持ちは子どもも大人も一緒です。ですから、練習を休みたくない・休ませたくない、試合に出たい・出させたいと、意見も一致しがち。しかし、「多少の違和感や痛みならいいか……」というお互いの油断が野球肘の発見を遅らせ、重症化を招く要因となります。
そこで親や指導者は、定期的に子どもたちのひじをチェックすべきです。そこで痛みや問題に気づいたら、すぐに整形外科を受診しましょう。とくにスポーツ整形外科はスポーツの障害や外傷のプロなので、細かい相談にも乗ってくれます。野球を楽しく続けるために、早期発見・早期治療に努めましょう。
(Moving13号より)