コラム 2023.10.16

理学療法士が教える!膝が痛い&膝が伸びない40〜50代が絶対やるべき3分リハトレ【1】膝の可動域を保つ

リハトレ1日目:課題(1)膝の可動域を保つ

 シニア世代は、膝をピンと伸ばしているつもりでも、伸び切ってない人が多い、と福原先生は言います。

「膝の骨・関節は、完全に伸びたときに初めて安定する構造になっています。伸びが悪くなると関節が不安定になり、負担が増し、痛みと変形を招きやすいのです。しかも関節が不安定な分、筋肉に過剰な負担がかかって硬くなっていきます。すると、ますます膝の曲げ伸ばしが困難に。まさに悪循環です」

骨と骨の間に示しているのは、圧力がかかる部分。左のように膝が完全に伸びた状態が均一に圧力がかかり一番安定するが、右は膝が完全に伸びていないので、一部分にだけ負荷がかかってしまい、また、安定しない。

 

 そこで、この膝の関節可動域をきちんと伸ばせるように保つには、膝をまたぐ筋肉の「ハムストリングス」と「腓腹筋」の柔軟性を取り戻すことが大事になります。

 ハムストリングスは「ももの裏側」の筋肉であり、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の3つで構成され、いずれも膝関節・股関節をまたぐ筋肉です。

 

 また、「ふくらはぎ」の筋肉である下腿三頭筋は腓腹筋ヒラメ筋の2つで構成されますが、そのうちの腓腹筋は膝関節・足関節をまたぐ筋肉です。

 ハムストリングス腓腹筋は、1つの筋肉が2つの関節に影響を与える筋肉であり、柔軟性の低下がからだ全体の姿勢に大きく影響します。そして繰り返しますが、この2つの筋肉の柔軟性がなくなると、膝関節の可動域が狭くなり、反対に柔軟性を取り戻すことで膝関節がピンと伸びることができ、安定するのです。

 

 では、課題(1)の「膝の可動域を広く」するため、筋肉を柔らかくしていきましょう。

 

【1】ハムストリングス(大腿二頭筋)のストレッチ

まずはハムストリングスのストレッチから。ハムストリングスは、骨盤から膝下まで伸びている筋肉です。

(1)地面に座って膝を曲げ、足先をつかむ

(2)背筋を伸ばし、そのままの姿勢で踵を少しずつ前に押し出す

(3)もも裏に張りを感じて「イテテ」となるまで10〜20秒かけてゆっくり伸ばす

・息を止めないように注意する

【2】腓腹筋のストレッチ

続いて、下腿三頭筋の一部の「腓腹筋」のストレッチも行います。この腓腹筋は、膝裏からふくらはぎを通り、踵についている筋肉です。

 

(1)イスや壁を支えにして、両足の踵をしっかりと地面につける

(2)つま先をまっすぐ前に向ける(※外を向きがちなので注意)

(3)膝をしっかり伸ばし、腰を前に移動させ、10〜20秒かけてゆっくりふくらはぎを伸ばす

・踵が地面から離れないように注意する

・反動をつけないように注意する

どちらもベストは朝・昼・晩の3回ですが、難しければ一日一回でもOKです。

(取材・田代智久 イラスト・うえむらのぶこ)

 

 

福原 隆志(ふくはら たかし)秋田リハビリテーション学院理学療法学科専任教員、博士(保健学)、認定理学療法士(スポーツ理学療法、臨床教育)

島根県松江市生まれ。群馬県前橋市のクリニックにて臨床経験を積み、成長期の子供から高齢者まで幅広い世代の整形・スポーツ領域のリハビリテーションを行うかたわら、群馬スポーツリハビリテーション研究会の一員とし、地域スポーツで活動する理学療法士の育成に取り組む。2014年より秋田県に移住。秋田市の回復期病院で主に脳卒中のリハビリテーションに関わりながら、秋田県理学療法士会 障がい予防・スポーツ支援班の班長として地域スポーツをサポートしている。2020年より現職。理学療法士養成校の教員として後輩理学療法士の育成に従事しながら、「年齢や障がいの有無に関わらず、スポーツを楽しみながら健康になる地域づくり」を念頭に置きつつ、高齢者の運動教室などを積極的に行っている。趣味は子供達の部活動観戦と、日課である愛犬との散歩。

 

1 2

この記事をSHAREする

RELATED ARTICLE