レスリング世界王者・成國大志さんに聞く「ギリギリまで自分を追い込む方法」とは?
成國大志さんといえば、小中高、そして大学時代も破竹の勢いで大会を制し、2022年にセルビアの世界選手権男子フリースタイル70kg級で世界一に輝くなど、いま圧倒的な強さを誇る注目のレスリング選手。その成國さんに、自分の力を最大限に引き出す方法や、逆境の跳ね返し方について伺いました。
3歳からレスリングマットにいた
3歳ごろから、もうマットにいました。当時、レスリングの元世界チャンピオンの母(※成國晶子さん。旧姓・飯島)が、格闘家の高田延彦さんが主宰していた高田道場でレスリングの指導をしていた関係で、僕もそこに連れて行かれていたんです。
本格的に始めたのは、『AACC(スポーツ格闘技スクール)』で学んでいた小学1年生からです。真剣に試合をするようになってからは、勝負の世界にどんどんのめり込んでいきました。当然ですが、勝てば嬉しいし、負けると悔しい。それが純粋に楽しかったんですね。小中学校時代は、母の指導の元、毎日いろんな課題をクリアするようなかたちでトレーニングをしていました。
高校は三重県のいなべ総合学園高校に進学。監督の家で下宿生活を送りました。レスリング強豪校だったこともあり、練習時間が1日4〜5時間と、とにかく長かったのを覚えています。大した時間じゃないと思われるかもしれませんが、レスリングの4時間、5時間というのは、もう本当にキツいんです。
しかも自分はどちらかといえば、いま必要な練習メニューを日々考えながらトレーニングしたいタイプ。固定化された練習メニューを長時間やり続けることで鍛えられた部分はもちろんありますが、精神的にしんどかったですね。
青山学院大学に入ってからは、コーチと相談しながら、自分で考えて練習メニューを組めるようになりました。例えば、息が上がるような練習を増やしてスタミナをつけることで、試合の前半で相手をバテさせ、後半で勝負を決めにいく、といった勝ちパターンを作ったり、などですね。
ただ、いま振り返れば、食事・休養・練習方法など、あらゆる点で学生時代は考えが浅く、世界の頂点に立てるような練習ではなかったですね。というのは、レスリングはぶつかり合いの競技なので、結局のところ最後にモノを言うのは力=パワーなんです。