インタビュー 2023.12.01

レスリング世界王者・成國大志さんに聞く「ギリギリまで自分を追い込む方法」とは?

効率的なトレーニングで肉体改造

 体作りのために今も実行しているのは、基本的にはボディビルダーのような、筋肥大のための筋力トレーニングです。これを軸にしつつも、レスリングで勝つには“動ける筋肉”も必要ですから、ダッシュ系やジャンプ系の練習を組み入れ、自分なりにアレンジしてトレーニングをこなしています。

 メニューは日々変わりますが、基本的にはある範囲の筋肉を鍛えて完全疲労(オールアウト)させて2〜3日休ませ、その間に別の筋肉を鍛える、この繰り返しです。

 より具体的には、「押す力を鍛える日」、「引く力を鍛える日」、「脚を鍛える日」、というふうに分けています。これに加えて、もちろんレスリングの練習もしますし、サーキットトレーニングやインターバル走も行います。これをローテーションさせている感じです。

「パワーをつけすぎると動きが鈍くなるんじゃないか」と一般的には思われがちですが、僕は逆だと考えています。パワーがつくと瞬発力が上がり、スピードも上がります。さらに試合でも余裕が持てるようになりました。

 例えば、昔は100の力でかけていた技が、その半分の力でかけられる。するとその残りのパワーを別のところに振り向けられます。何より、試合中、最後の最後までバテずに攻め切ることができるようになりました。

 特に、欧米の選手などは骨格や筋肉のつき方からして日本人とは差があります。最初から体に搭載している筋肉量が違うと言いますか。どんなにテクニックを駆使しても、圧倒的なパワーで跳ね返されることも多い。だからレスリング選手は技術を磨くのと同時に、筋肉をしっかりつける必要があると僕は思っています。

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