疾患ナビ 2024.04.04

理学療法士が教える! 腰が痛い40〜50代が毎日やるべき3分間リハトレ【1】腰痛の要因とは?

中高年世代に多い腰の痛み、いわゆる腰部痛は、主に①姿勢不良、②不活動、③ストレスの3つが大きな要因だと言われています。

  • 姿勢不良

昔に比べ、デスクワークやスマホの使用時間が増えた現代、長時間、猫背や反り腰など無理な姿勢を続ける時間が増え、腰に過剰にストレスがかかっている

  • 不活動

リモートワークの増加により、まったく歩かずに一日を過ごす人が増えている。そうなると筋力が低下し、腰に負担がかかりやすくなる

  • ストレス

②と重なる部分が大きいが、運動不足や睡眠不足などによる心身のストレスも腰部痛の原因となる

「人間は四つ足歩行から二足歩行に進化した瞬間から、腰にかなりの負担がかかるようになりました。重量のある背骨や肋骨、頭骨、そこにある筋肉や内蔵をすべて支えているわけですから、健常者でも腰には常に相当なストレスがかかっているのです」と話すのは、リハビリのプロである日傳宗平(ひづた・そうへい)先生。

「上は背骨の図ですが、色が付いた腰椎の部分に注目してください。腰椎の前方に2/3、後方に1/3の荷重がかかっています。これが正常な状態です。ところが猫背や反り腰になると、最適な荷重のバランスが崩れ、腰椎に過剰なストレスがかかって、それが腰の痛みとして表れるわけです」(日傳先生・以下同)

日傳先生によれば、腰痛を緩和させるためには、まずは最低限の筋力をつけることが大切とのこと。例えば、肋骨の下部、腹部や腰回りをぐるりと取り囲む筋肉(腹横筋・骨盤底筋・多裂筋・横隔膜など)を鍛えることで、腰の痛みを和らげることができるそうです。

「腹や腰の周りの筋力が低下すると、腹圧がかからなくなります。腹圧がかかっている状態というのは、いわばゴム風船がパンパンに膨らんだ状態。これが重量を支えてくれるわけです」

ところがお腹や腰の周りの筋力が低下し、腹圧がなくなると、ゴム風船がぺちゃんこ状態になります。その結果、腰にすべての重量がそのままドンとかかってしまい、過剰なストレスにより腰の痛みが出る、という仕組みです。

「なので、普段からお腹周りに力が入っているか意識して生活しましょう」

筋力が低下すると腹圧がかからなくなり、ぺちゃんこになって腰にストレスがそのままかかって負担になる

 

ちなみに、腰痛にも種類があり、下の3つが代表的です。

  • 腰椎椎間板ヘルニア…背骨の間のクッション材である「椎間板」が変形して飛び出し、神経を圧迫する
  • 腰椎分離症…スポーツに打ち込む成長期の子どもに多い、腰の背骨の疲労骨折
  • 腰椎すべり症…腰椎が前後にずれて不安定になることで、腰痛、下肢痛、下肢のしびれ、歩行困難などが生じる

 

 腰痛の症状は上記のように個々人で異なるので、腰に痛みが出たら、自己判断せずにまずは必ず医師の診断を仰ぎ、どんなタイプの腰痛なのか見極めましょう。そのうえで次回は、一般的な腰痛に悩む40〜50代が毎日自宅でできるリハトレ(=リハビリトレーニング&ストレッチ)を日傳先生に伝授してもらいます。

取材・文◎田代智久

 

 

日傳宗平(ひづた・そうへい)理学療法士 JSPO-AT DVTMインストラクター。岡山県・長谷川紀念病院に勤務。

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