「元気なカラダと運動器」#1 運動器って何だ?
「運動器」というと、鉄棒や跳び箱、ラケットやグローブなどを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしそれらは運動器具、スポーツ用品と呼ばれるものです。「運動器」はこうしたモノではなく、人のカラダの中にある大切な仕組みのひとつ。
たとえば、気管や肺など呼吸に関連する器官を「呼吸器」と呼びますね。胃や腸や肝臓など消化に関するものは「消化器」、心臓や血管など血液循環に関連するものは「循環器」と名付けられています。つまり、「~ 器」というのは、体の器官を意味するのです。
「運動器」は、骨、関節、筋肉、腱、神経など、体を動かしたり、支えたりする器官をまとめて呼ぶ名称なのです。立つ、歩くなどの普段の生活の中の動きも、走る、跳ぶ、投げるなどのスポーツの動きも、ピアノやバイオリンなどの楽器を演奏したり、踊ったり、絵を描くなどの芸術の動きも、いずれも運動器による体の表現です。
脳が「思考・命令系」とすれば、運動器はその「表現系」ということができますね。脳で考えたことを、運動器を通じて体の動きとなって、初めて表現されるわけです。
私たちは朝起きてから夜寝るまで、絶えず動いているでしょう。つまり運動器をフルに使って自分の考えや心を表現しているのです。その積み重ねが人生。
ギリシャのアリストテレスは「Life is motion」(生きていることは、動いていることだ)と言っています。生活や人生、生命は体を動かすことによって作られているのです。
自 分のカラダが動くということを改めて意識してみてください。動く喜び、動ける幸せを感じるはずです。運動器についてもっと詳しく知れば知るほど、その仕組みがじつによくできていることに驚かされます。次回からは、運動器の役割や仕組みについて詳しくみていきます。